先週の土日、妻の実家の方で用があり、帰省したついでに三谷幸喜の「ステキな金縛り」を観てきた。東京だとどうしても「映画なんか観ている場合なんだろうか…」と思って腰が重くなるので、いい機会であった。
以下はその感想。これから観ようと思っている人は見ないで下さい。
前半は凄く楽しい。これから起こることをいろいろ想像してワクワクした気持ちが広がる。だけど話が進むにつれて「アレ?」と思う箇所が出てきて、それがどんどん増えて行き、最終的には「うーん…」という気持ちで映画館を去ることになった。
幽霊が証人として法廷に立つという設定を最初に知ったときは「えっ!?」と思ったが、そこへの持って行き方はとても上手くいっていて感心した。演じる西田敏行は完璧に楽しくてこちらもさすが(僕は西田敏行が大好きで、最近は西田敏行をテレビで見るたびに「長生きしてくれますように」と心の中で祈っている)。主役の深津絵里も魅力的だったし、敵役になる中井貴一もいい。もっとこの3人のやりとりにフォーカスして、上映時間が2/3くらいだったら凄くいいコメディになったと思う。
でもそうならなかったのは三谷幸喜という人が巨大になりすぎているからなのかも。他の映画だったら主役クラスの人をゲストにむかえるにあたって、そのためにいろんな役を作らなくてはいけなくて、そのせいで映画が間延びしているように感じた。「この役、映画に関係あるのかな?」と思う人も何人かいた。気の毒である。
そして事件のトリックや伏線がびっくりするくらいずさん。「幽霊を証人として法廷に立たせる」という大嘘をついている以上、ディティールは現実に沿って欲しかった。
前半が面白くて後半うーんという気持ちになるというのは、前作「マジックアワー」のときもそうだったのだけど、「わくわく度」も「うーん…」度もさらに増している気がした。前作より楽しく、前作より残念な気持ちになるというヘンな映画である。
でもこれがワンクールのテレビドラマだったらどうだっただろう。豪華なキャストがゲストとして毎回登場すれば楽しいし、杜撰な設定やトリックもテレビドラマの雰囲気の中でならスルーできたかも…。
そんな考えても仕方ないことを考えてしまうのは、西田敏行はそれほど良かったということである。あの落武者をテレビで毎週観ることができたら…。
楽しそうな西田敏行を観て西田敏行ファンがニコニコする映画としては満点であった。
でも多分次の三谷幸喜映画も見に行ってしまうと思います(結局ただの三谷ファン)。